【好評発売中】語りかける東大数学 -奥深き理工学への招待-【新著紹介】

いつも Twitter や YouTube をご覧くださっているみなさん,ありがとうございます!
このたび,”語りかける東大数学 -奥深き理工学への招待-” がオーム社さんより出版されました。
本記事では,この書籍の概要をご紹介します。

今回は,落ち着きのある渋めのデザイン。
表紙はクラフト紙で,いい感じの手触りです!

テーマ:東大入試数学の “背景” をさぐる

“語りかける東大数学” は,大学受験生向けの参考書ではありません。

東京大学の入試数学の過去問から特にユニークな問題をピックアップし,個々の問題を解説するのみならず,その出題の数学的・理工学的な背景や出題者の意図を推理してご案内していくものです。

受験勉強の枠組みに囚われず,知的好奇心が刺激され,受験参考書や受験向けの授業では教えてくれない含蓄が味わえることでしょう。

テーマの例

これは,私が東大を受験したときの入試問題です。
入試の数学の成績は 107点/102点 だったのですが,本問の (2) は,本番で唯一解ききれなかった問題でした。

さて,この問題にはある “背景” があるように思うのですが,それが何だかわかりますか?
(1) に登場する $g(x)$ という関数は,大学の物理等で登場するある関数と似た性質をもっています。
また,(2) の $h(x)$ も,それと関連する性質があります。


次の題材はこちら。これはいまから 10 年ほど前の入試問題です。
当時は行列が理系数学の入試範囲で,この年には行列に関する大問が 2 つも出題されて話題となりました。

問題を解くだけだとなかなか思い至らないのですが,本問はとある “群” とその生成元に関係しています。
目的がわかりづらい (3) も,生成元に関する性質の証明でちゃんと登場するのです。

こんな方にオススメ

フツーの受験勉強に飽きてしまった高校生にとっては,受験のよい気分転換でありながら発展的な数学の勉強になる一冊となっています。

理系の大学生は,いま学んでいる大学での数学を踏まえて入試問題を眺めることで,”この問題は,きっとアレが背景だな!” と推理できることでしょう。

受験とは無関係に数学を学びたい社会人のみなさんには,受験の重苦しさなしに気楽にお読みいただけるはずです。

詳細目次

  • 第 1 章 直接測れないもの・複雑なものを調べる
    • §1 あの飛行機の高度は何メートル? (測量)
    • §2 射影する前の正三角形の辺長は? (射影)
    • §3 スライスすると見えてくる (断面)
  • 第 2 章 ものづくりの裏側
    • §1 限りある資源を大切に (体積の最大化)
    • §2 ロボットアームの動く範囲は? (ノードの通過領域)
    • §3 星の動きをつかめ!(空間座標)
    • §4 光はどこを目指して進むのか (反射)
  • 第 3 章 ほしいものを取り出す
    • §1 関数が “直交” するって,どういうこと?(多項式関数の直交性)
    • §2 極限を考えると見えてくる “ズレ” の世界 (Taylor 展開)
    • §3 ココの値だけ取り出したい!(delta 関数)
  • 第 4 章 座標で分析する
    • §1 “距離”は1つだけじゃない ($L^{1}$ ノルム)
    • §2 高校では教わらない,でも重要な“積” (ベクトルの外積)
    • §3 自然科学に欠かせないあの式 (Euler の公式)
    • §4 見た目は違っても,つくりは同じ (行列と複素数の体同型)
  • 第 5 章 関係性や操作を表現する
    • §1 とっても大事な“一次変換” (一次変換の導入)
    • §2 操作を繰り返すと何が起こる? (回転・拡大)
    • §3 “終着点” は行列が教えてくれる (固有値・固有ベクトル)
    • §4 一歩引くと構造が見えてくる (行列のなす群)
  • 第 6 章 変化の様子を分析する
    • §1 やっぱり侮れない “複利” のパワー (数列)
    • §2 物体の運動を数学で解き明かす (運動方程式)
    • §3 石油が全部流出するまであと何分?(微分方程式)
  • 第 7 章 確率を見積もる・最適化する
    • §1 ミスはつきもの。でもどれくらい起こるの?(遷移図・確率の評価)
    • §2 明日は,今日の延長線上にある (マルコフ過程)
    • §3 リターンを計算すれば,最適な行動ができる (期待値)
  • 第 8 章 コンピュータの世界の計算と表現
    • §1 “0” と“1” だけの世界 (2 進数)
    • §2 同一視することで見えてくるもの (合同式)
    • §3 計算機で実験をしてみよう (アルゴリズム)
    • §4 大事なのは“つながり方” (グラフ)
  • 第 9 章 自己相似 ―自分の中に自分がいる―
    • §1 “等比” は“相似” を生み出す (対数螺旋)
    • §2 神出鬼没のとある数列 (Fibonacci 数列)
    • §3 “連ねた” 分数で実数を表現する (連分数)
    • §4 実験し,観察すると見えてくる!(Pascal の三角形)

私の眼からみた東大入試数学の世界を,この 1 冊に凝縮しました。A5 サイズ 280 ページの大ボリュームです。 限りなく広い数学の世界。その一部を,私とともに覗いてみませんか? ぜひご予約ください!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次